ティム・オブライエンの長編小説。確かこの作品は発表された10年ほど前に MIT の図書館で借りて来て読んだ覚えがある。今回は学院の図書館で日本語版を借りて来て読んでみた。邦題は『
世界のすべての七月』。アメリカがベトナム戦争をしていた頃(60年代後半)に学生時代を共にした人たちが、卒後30年経った同窓会(reunion)で再会し、それぞれが過去を回想しながらドタバタを演じるという、言ってみればよくあるパターンのお話です。とても面白かった。500ページほどの長さだけど、どんどん読んであっと言う間に読み終えた。みんな専門職でキャリアを確立したり、ビジネスで成功したりして、裕福でもあり、世間的に見ればうまくいっている人たちなんだけど、幸せかというとぜんぜんそういうわけではなくって、いつまで経っても満たされないものを胸に抱えた人たちが登場してきます。「その気持ち、分かる、分かる」というほど僕は人生を生きてきたわけではないけど、それでもなんとなく、自分が50の半ばになったらこんな感じなのかなと、リアルに想像させるものがある。親しみやすいお話であり読みやすい文章ですが、渋い大人の小説とも言える作品です。
0 件のコメント:
コメントを投稿