2012年12月20日木曜日

日本の運動学

先日、理学療法士の学校のカリキュラムのことである人と話してたんだけど、リハビリ系の学校のカリキュラムには「運動学」って科目が昔からあるんですね。PTやOTなどのリハビリ士さんであれば、この言葉を聞けばどんなことを学ぶ科目なのかおよそ想像がつくと思うのですが、リハ
ビリ外の人たち(つまり「一般の方々」ですね)が聞けば、どんな内容を想像すると思います?

これ、結構デカい言葉ですよね。「運動学」。運動に関することは全てカバーするようにも聞こえちゃいますよね。先入観がなければ。。

でもリハビリの世界で使っている「運動学」という言葉は、英語で言うと「kinesiology」なんですよ。筋肉や骨や関節の動きを力学(mechanics)をベースに記述する学問です。

でもですね、よく考えてみて下さい。「運動」と言えば、たとえ狭義に人間の身体運動に限ったとしても、運動している時には、筋や、骨や、関節だけでなく、脳や心も働いているわけだし、肺や心臓だって、運動に必要な酸素やエネルギーを筋や脳に供給できるよう頑張っているわけです。

だから、「運動学」ってバクっと言う限りは、運動を総合的に考える学問であるべきだと思うんですよね。

英語では「kinesiology」のほか、「movement science」とか「exercise science」とかいう言葉もあって、これらの意味合いは明確に異なるわけだが、僕が知る日本のリハビリ屋さんたちはそんなことも全く考えずに、慣習的に(昔からみんながそう言っているからとか、自分はそのように学んだとかいう理由だけで)「kinesiology」のことを「運動学」って呼んでるように思うんですよ。

一応、僕も帰国した頃は「それ、おかしいんじゃない」って親切に話することもあったりして、総合的な身体運動の学問として、「運動科学」って科目を作ったらどう、なんてことも言ってたんだけど、まあ、その人たちにとってみれば、自分の想像を超える話なので、表面上はうなずいたりして理解したかのようなそぶりは見せるんだけど、心の底では全く理解してないみたいで、結局、何気ない会話の中で kinesiology のことを「本当の運動学」って言ったりして、浸透しないわけなんですよね。

ま、最近では僕も少し学習して、「それはそれで仕方がないか」と思うようにはなったんだけど、本当にこんなので良いんでしょうかね。日本の運動学。

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