* * *
さて、昨夜は一、二審判決に判例違反があったことを書いたんだけど、今夜からそれを少し具体的に解説して行こうと思うんですね。
今回の訴訟における争点の一つは、契約解除がどのようにしてなされたかということにありました。法廷用語としては、「契約解除の態様」と言ったりします。「様態」ではなく「態様」なんですね。
「契約解除」というのは、平たく言えば「契約を終了させる」ことなのですが、それには幾つかのパターンがあります。
たとえば、契約書に「コレコレこういう場合には契約解除できます」とあれば、その規定に従い解除することができます。また、たとえ契約書にそのような規定がなかったとしても、相手方に債務不履行(約束違反、義務違反など)があったり(民法541条)、契約に手付金が交付されている場合であれば、その手付を放棄したり、倍返しすることで解除することができます(民法557条)。
契約書に従い解除する場合を約定解除と言い、法律に従う場合を法定解除と言います。
今回のケースでは、お相手さんが行うべき仕事を行うことなく、「契約を解除する」と言い張ってきたわけですが、これって、ちょっと戯画的に表現すれば、仕事をやめる権利のない人が、「もう、やめたらぁ〜!」と言って、現場を放り投げるようなものなんですよ。
このような場合、その仕事を放棄した人(本件ではお相手さん)に果たしてそうするだけの権利(「解除権」と言います)があったのかどうかが法廷では問われることになるのですが、今回の二審判決では、このお相手さんの解除権の有無がスゴく曖昧にされていて、ここのところがとても不明瞭と言うか、ぶっちゃけ、胡散臭いんですよね。
判決の結論としては、お相手さんの債務不履行(仕事放棄)によって契約が解除され、お相手さんは僕に対して損害賠償責任があるとされているので、お相手さんには契約を解除する権利などなく、むしろ解除権(上記民法541条に基づく解除権)は僕の方にあったわけなんですが、
どうやらここのところを判決できっちり吟味し出すと裁判官にとっては都合の悪いことになったんじゃないか。だからここのところを敢えて不明瞭にしたんじゃないか、というのが僕の見立てなんですよね。
で、ですね。ここから判例違反の疑いが徐々に導き出されて行くわけなんですが、ここからさらに話を進めるとなるとまた長くなりそうなので、続きは次回以降のお楽しみに、ということにさせて頂きます。
(次回につづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿