理学療法士の皆さんはすでにご存知の方も多いと思いますが、僕も関心があってこの事件についてはフォローしています。
原告側の主張によると、寝る間もないほどの厳しい実習が事件を引き起こした。学校と実習地には法的責任があるとのことです(詳しくは上記サイトを参照下さい)。
ネットではおおむね「ひどい指導者」が学生を追いつめた。「そんな理学療法士はクズだ」という論調が多いように思います。
確かに原告側の主張を読む限り、直接的には実習地の指導者(スーパーバイザー)に大きな問題があってそれが自殺の原因になったと僕も思うわけですが、その指導者だけの問題かと言うと、そうでもないと思います。
数ヶ月前にもこういうブログを書いたんですけど、
暗黙の前提
業界としてのリスク管理
先送りの文化
そういう闇雲に過酷な実習がまかり通る空気が理学療法士の世界にはあると思うんですね。指導者がどんなにイジメ好きで意地の悪い人だったとしても、そういう空気がなければなかなかそういう実習は成立しないと思います。
うちの学生も実習中はほとんど寝れなかったという子が毎年少なからずいますし、人の話を聞く限り、この事件での「指導」に似たようなことが少なからず行われていると想像した方が良いのかもしれません。
居酒屋の従業員が寝る間もなく過労自殺するようなケースと似てますね。
そういう事件を起こす会社は「ブラック企業」なんて言われますが、その基準に従うと、理学療法士の世界もブラックなんですよね。
ただ、会社が従業員を酷使する動機が労働力の搾取であるのに対して、理学療法士の学生を酷使する動機ってどこにあるんでしょう?
立派な理学療法士になって欲しいという教育的な動機もあるのでしょうが、子供の虐待や中高生のイジメに似た感情も含まれているのかもしれません。
ある意味、幼稚というか、不気味ですよね。
最後に一点。
原告側の主張が事実であったとして、被告側の実習指導者がなぜそのような「指導」を行ったのか、あるいは行うようになったのか。
断罪する前にそこのところを考える必要があると思います。
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